建物の解体後に固定資産税が上昇する理由!税負担を減らすための具体的な対策とは?
1. 家屋の解体後に固定資産税が上昇する理由
建物を解体すると、一般的には固定資産税が上昇します。この理由の大きな要因は「住宅用地の特例」が適用されなくなるからです。
住宅用地の特例とは?
「住宅用地の特例」とは、土地に建物(住宅)が建っている場合に適用される税負担を軽減する措置です。この特例が適用されると、固定資産税や都市計画税が通常よりも大幅に軽減されます。
具体的には以下のような軽減率が設定されています。
土地の種類 |
固定資産税の軽減率 |
都市計画税の軽減率 |
小規模宅地(200㎡以下) |
1/6 |
1/3 |
小規模宅地以外(200㎡超え) |
1/3 |
2/3 |
つまり、住宅が建っていることで、本来の税負担が大きく減額されているのです。
更地になるとどうなる?
住宅を解体して土地が更地になると、この特例が適用されなくなります。結果として、固定資産税は最大で6倍、都市計画税は最大で3倍になる場合があります。
実際の例で確認
例えば、敷地面積が200㎡で評価額が3,000万円の土地の場合を考えてみましょう。
状態 |
固定資産税 |
都市計画税 |
特例あり |
7万円 |
3万円 |
特例なし |
42万円 |
9万円 |
増加率 |
6倍増加 |
3倍増加 |
このように、特例がなくなることで税負担が大きく増えるのです。
2. 実際には6倍になるケースは稀
「固定資産税が6倍になる」と聞くと、驚いてしまう方も多いと思います。しかし、実際には税負担が1倍から3倍程度の増加にとどまるケースが一般的です。
解体前後の固定資産税比較
以下のような実例があります。
-
ケース1: 土地2,000万円、建物500万円の場合
解体前:約15.16万円 → 解体後:約34万円(約2.24倍増加)
-
ケース2: 土地1,200万円、建物1,000万円の場合
解体前:約21万円 → 解体後:約20.4万円(約0.97倍増加)
なぜ実際の増加率が低いのか?
解体すると建物部分の固定資産税がなくなるため、その分納税額が減額されます。その結果、土地の税負担が増えても、全体的な税額はそれほど増加しない場合が多いのです。
また、自治体によっては「負担軽減措置」が適用されることもあります。この措置により、土地の評価額が急激に上昇した場合でも、税額が徐々に増える仕組みになっています。
3. 解体せず放置しても税額が上昇するリスク
「それなら、解体せずに建物をそのままにしておこう」と思う方もいるかもしれません。しかし、建物を放置することで「特定空き家」に指定されるリスクがあります。
特定空き家とは?
特定空き家とは、以下の条件に該当する危険性のある空き家を指します。
- 倒壊の恐れがある
- 保安上危険
- 衛生上有害
- 景観を著しく損なう
特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が増加します。また、行政から解体や修繕の命令が下される場合があり、従わない場合は罰則が科されることもあります。
特定空き家でも税額増加
特定空き家の場合、特例が適用されなくなるため、更地と同様に固定資産税が上昇します。加えて、修繕や解体の命令を無視するとペナルティとして罰金が科される可能性があるため、注意が必要です。
4. 解体後の固定資産税負担を減らすための具体策
建物を解体した場合、固定資産税の負担を少しでも軽減するためには、土地の活用方法を工夫することが重要です。ここでは、代表的な対策をいくつかご紹介します。
コツ① 公益性のある用途にする
土地を「公益のために直接専用する」ことで、固定資産税が軽減される場合があります。たとえば、以下の用途に利用するケースが該当します。
自治体ごとに条件が異なるため、事前に自治体に確認しておきましょう。
コツ② 駐車場として利用する
駐車場として利用する場合、簡易的な土地の活用方法であるため、評価額が比較的低く抑えられる可能性があります。また、収益を得ながら固定資産税の負担を軽減できるメリットがあります。
コツ③ 農地に転用する
農地として利用することで、固定資産税が軽減される場合があります。ただし、農地転用には自治体の許可が必要なため、事前の確認が必要です。
コツ④ アパートを建てる
土地にアパートを建設することで、建物が評価の対象となり、土地の評価が下がることがあります。これにより、全体的な税負担を抑えられる可能性があります。
コツ⑤ 解体後に土地を売却する
建物を解体した後に早めに土地を売却することで、固定資産税の負担を最小限に抑えることができます。「更地渡し」という方法を活用すると、解体後の税負担を次の所有者に引き継ぐことも可能です。
5. 解体費用を抑えるための工夫
固定資産税の対策だけでなく、解体費用そのものを抑えることも大切です。以下のポイントを押さえることで、無駄な費用を削減できる可能性があります。
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複数の業者から見積もりを取る
解体費用は業者によって異なるため、複数の見積もりを比較することで最適な業者を選べます。
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補助金制度を活用する
自治体によっては解体費用の一部を補助してくれる場合があります。条件を確認し、積極的に活用しましょう。
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業者に直接交渉する
解体業者と交渉することで、費用が下がる場合もあります。