解体工事の届出6種類!必要性と提出先を丁寧に解説
解体工事で必要な届け出とは?
解体工事では、安全確保や環境保護のために法律で定められた手続きを踏む必要があります。解体工事の届け出には以下の6種類があります。
|
届出の種類
|
提出担当
|
提出先
|
提出期限
|
|
アスベスト除去の届出
|
施主
|
都道府県知事
|
工事着手14日前
|
|
建築リサイクル法に関する届出
|
施主
|
自治体
|
工事着手の7日前
|
|
ライフラインの停止
|
施主
|
各業者
|
工事着手の前日
|
|
建築物除却届
|
施主
|
都道府県知事
|
工事着手の前日
|
|
道路の使用許可申請
|
解体業者
|
警察署
|
工事着手の前日
|
|
建物滅失登記申請
|
施主
|
法務局
|
工事完了後1か月以内
|
それぞれの届け出について、詳しく見ていきましょう。
アスベスト除去の届出
アスベストは、建物の建材に使用されている可能性があり、その飛散は人体や環境に大きな影響を及ぼします。そのため、解体工事を行う前にアスベストの事前調査が義務付けられています。調査の結果、アスベストが含まれている場合には、適切な届出が必要です。
届出の種類と提出期限
アスベストの飛散性(レベル)に応じて、以下のような届出が必要になります。
|
レベル
|
届出書
|
提出期限
|
提出先
|
|
レベル1~2
|
特定粉じん排出等作業実施届出書(大気汚染防止法)
|
工事開始14日前まで
|
自治体
|
|
レベル1~2
|
建設工事計画届(労働安全衛生法)
|
工事開始14日前まで
|
労働基準監督署
|
|
レベル1~3
|
事前調査結果報告書(大気汚染防止法)
|
工事開始前まで
|
労働基準監督署
|
届出を怠るとどうなる?
アスベストに関する届け出を怠った場合、以下の罰則が科される可能性があります。
- 3か月以下の懲役または30万円以下の罰金(大気汚染防止法)
- 行政指導や改善命令
健康被害を防ぐためにも、アスベスト除去に関する手続きは確実に行いましょう。
建築リサイクル法に関する届出
建築リサイクル法では、解体工事による廃材のリサイクルが義務付けられています。特に、延床面積が80㎡以上の建物を解体する場合には、自治体への届け出が必要です。
必要な書類と手続き
届出には、以下の書類を準備する必要があります。
- 分別解体計画書
- 解体工程表
- 建物の設計図または写真
- 現地案内図
これらを解体工事の7日前までに自治体へ提出します。
届出を怠るとどうなる?
建築リサイクル法の届け出を行わない場合、20万円以下の罰金が科されることがあります。また、分別解体や再資源化義務に違反した場合には、さらに厳しい罰則が科される可能性があります。
ライフラインの停止
解体工事では、水道、電気、ガス、インターネットなどのライフラインを停止する必要があります。これらの手続きは、施主自身が行うのが一般的です。
手続き方法
- 各ライフライン業者に電話またはインターネットで停止手続きを行います。
- 工事開始の1か月~3日前までに連絡するのが理想的です。
手続きを怠ると?
罰則はありませんが、ライフラインを停止しないまま工事を進めると、以下のリスクがあります。
特にガスは危険なので、解体業者と連携して早めに手続きを進めましょう。
建築物除却届
解体工事を行う際には、工事開始の前日までに「建築物除却届」を都道府県知事に提出する必要があります。
必要な場合と不要な場合
- 必要:解体部分の床面積が10㎡を超える場合
- 不要:新築目的での解体や床面積が10㎡以下の場合
届出を怠るとどうなる?
建築物除却届を提出しないまま工事を行った場合、50万円以下の罰金が科されます。また、統計管理や建築基準の確認に影響を与えるため、必ず届け出を行いましょう。
建物滅失登記申請
解体工事が完了した後には、「建物滅失登記」を法務局に申請します。この手続きは、土地の権利を明確にするために重要です。
必要書類
- 登記申請書
- 解体業者の建物取毀(とりこわし)証明書
- 解体業者の印鑑証明書
- 自治体が発行する住宅地図
これらを揃えて、工事完了後1か月以内に申請してください。
届出を怠ると?
- 10万円以下の科料
- 固定資産税の過払い
- 土地売却や譲渡の障害
道路の使用許可申請
解体工事の際に道路を使用する場合は、解体業者が警察署に「道路使用許可申請」を提出する必要があります。
必要な場合
トラックや重機を駐車するスペースが確保できない場合
手続きを怠ると?
無許可で道路を使用すると、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。