解体工事を進める上で、事前に提出しなければならない「解体工事届出書」。初めて解体工事を依頼する方にとっては、「解体工事届出書って何?」「私が提出しないといけないの?」といった疑問が浮かぶのではないでしょうか。
この記事では、解体工事届出書の概要から、提出のタイミングや手続きをスムーズに進めるコツまで、初心者でも分かりやすいように丁寧に解説します。「なんとなく難しそう」と感じている方も、この記事を読めば不安が解消されるはずです。
解体工事届出書とは?提出の必要性や手続きの流れを詳しく解説
解体工事届出書とは?
解体工事届出書とは、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」に基づき、解体工事を行う際に自治体へ提出する書類のことです。この法律は、解体工事で発生する廃棄物を適切に処理し、リサイクルを推進することを目的としています。
この届出書の提出が必要になるのは、以下の条件に該当する場合です。
- 建物の床面積が 80㎡以上
- 特定の建設資材(木材、コンクリート、アスファルトなど)が使用されている
- 工事費用が 500万円以上
例えば、一般的な一戸建て住宅であれば、ほとんどが床面積80㎡以上に該当するため、多くの場合、この届出書が必要になります。
解体工事届出書の提出が必要な理由
解体工事届出書の提出義務がある背景には、建設リサイクル法の目的である「資源の再利用」があります。解体工事では、廃棄物として大量の資材が発生しますが、その中にはリサイクル可能なものが多く含まれています。
もし適切に処理されない場合、以下のような問題が起こり得ます。
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環境汚染
廃棄物が不法投棄されると、自然環境や景観が損なわれます。
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資源の無駄
リサイクル可能な資材を埋め立て処分してしまうと、貴重な資源が無駄になってしまいます。
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法律違反のリスク
届出を怠ると、依頼主や解体業者が罰則を受ける可能性があります。
こうしたリスクを防ぐためにも、解体工事届出書を提出することが義務付けられているのです。
解体工事届出書の提出者は誰?
「解体工事届出書は誰が提出するの?」という疑問を持つ方も多いですよね。原則として、届出を行うのは建物の所有者、つまり依頼主にあたります。ただし、多くの場合、解体業者が代行してくれることが一般的です。
解体業者に代行を依頼する場合の注意点
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業者に確認を取る
解体業者が届出書を代行してくれるかどうか、契約時に確認しておきましょう。
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委任状の準備
業者に代行を依頼する際には、委任状が必要になります。これも事前に準備しておくとスムーズです。
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手数料の有無を確認
一部の業者では、届出代行に手数料を請求する場合があります。見積もりの段階で確認しておくと良いでしょう。
解体工事届出書の提出先と提出期限
解体工事届出書は、解体工事を行う場所を管轄している自治体の窓口へ提出します。
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提出先
都道府県知事(政令指定都市の場合は市長)
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提出期限
解体工事の着工日の7日前まで
「7日前まで」というのは意外と短い期限ですよね。解体工事が急に決まった場合でも対応できるよう、早めに業者と相談し、スケジュールを調整しておきましょう。
解体工事届出書の記載内容
解体工事届出書には、次のような情報を記載します。
1 解体工事の対象となる建物の情報
建物の住所
建物の種類(木造、鉄骨造など)
建物の床面積
2 工事の概要
工事の予定期間
解体する理由
使用する重機の種類
3 産業廃棄物の処理計画
発生する廃棄物の種類
廃棄物の搬出先(処分場の所在地など)
4 解体業者の情報
業者名
許可番号
連絡先
これらの内容を正確に記載する必要がありますが、専門的な内容も多いため、解体業者に依頼するのが一般的です。
解体工事届出書に関連する注意点
1. 届け出の対象外になるケースもある
床面積80㎡未満の建物や、工事費が500万円未満の場合は届出が不要です。ただし、届出が不要であっても、解体工事を行う際の安全基準や廃棄物処理のルールを守る必要があります。
2. 違反すると罰則がある
解体工事届出書を提出せずに工事を進めた場合、罰則が科されることがあります。具体的には、50万円以下の罰金や工事の中止命令などです。「知らなかった」では済まされないため、忘れずに手続きを行いましょう。
3. 廃棄物処理の透明性が重要
届出書には産業廃棄物の処理計画を記載します。この計画が曖昧な場合、処理が不適切に行われるリスクがあります。業者が「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」を発行してくれるか確認することも大切です。
解体工事届出書を提出する流れ
以下の流れで手続きを進めるとスムーズです。
1 業者と打ち合わせ
解体工事の規模や内容を確認し、届出が必要かどうかを判断します。
2 必要書類の準備
・建物の図面
・所有者の身分証明書
・委任状(業者に代行を依頼する場合)
3 届出書の作成と提出
届出書を記載し、必要書類とともに自治体へ提出します。
4 受理通知の確認
提出後、受理通知が発行されます。この通知をもって解体工事が進められるようになります。
解体工事届出書にまつわるトラブルを防ぐために
解体工事届出書の手続きに不備があると、工事が遅れる原因になります。次のポイントに注意しましょう。
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スケジュールを早めに立てる
解体工事が決まったら、すぐに業者と相談してスケジュールを調整しましょう。
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信頼できる業者を選ぶ
届出の手続きを含めて、責任を持って対応してくれる業者を選ぶことが大切です。
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不明点は自治体に確認する
提出方法や必要書類について不明点がある場合は、自治体の窓口に問い合わせてみましょう。