ハンドクラッシャー工法とは?メリットやデメリットを解体の専門家が徹底解説!
ハンドクラッシャー工法とは?
ハンドクラッシャー工法とは、手で持つタイプのコンクリート粉砕機(ハンドクラッシャー)を使って解体を行う方法です。この工法では、機械のアタッチメント部分を粉砕したい場所に挟み込んで、油圧の力でコンクリートを噛み砕きます。その形状がクワガタのハサミに似ていることから「ウォールクラッシャー」や「ベビークラッシャー」とも呼ばれることがあります。
主に厚み30cmまでのコンクリートの壁や床を粉砕する際に使われます。重機が使用できない狭い現場や、騒音や振動を抑えたい作業現場で活躍する工法です。
ハンドクラッシャー工法が必要な場面
ハンドクラッシャー工法が選ばれる主な場面は以下の通りです。
1. 騒音や振動を抑えたい場合
病院や学校、集合住宅、オフィスビルなどの静粛性が求められる場所では、騒音や振動を最小限に抑える工法が求められます。ハンドクラッシャー工法は機械でコンクリートを粉砕しますが、重機と比較して音が小さく、振動も抑えられるため適しています。
2. 重機が搬入できない狭い現場
解体現場によっては、重機が入れないような狭いスペースでの作業が必要になることがあります。ハンドクラッシャーは手で持ち運べる小型機械のため、狭い現場でも作業可能です。
3. 粉塵を抑えたい場合
住宅密集地や商業施設内などでの解体工事では、粉塵の飛散を抑えることが重要です。ハンドクラッシャー工法は粉塵の発生が少なく、周囲の環境への配慮が必要な現場でも使用できます。
ハンドクラッシャー工法のメリット
ハンドクラッシャー工法には、さまざまな利点があります。以下で主なメリットを詳しく紹介します。
1. 騒音が少ない
重機で建物を取り壊す場合に比べて音が小さく、近隣住民に迷惑がかかりにくいのが特徴です。特に集合住宅や病院、オフィスなどでは、この点が非常に大きなメリットとなります。また、夜間作業にも適しているため、昼間の作業が難しい現場でも活躍します。
2. 電力消費が少ない
一般的な解体工事では多くの電力を必要としますが、ハンドクラッシャーは100V程度の少ない電力で動作します。そのため、電力供給が限られている現場でも問題なく使用可能です。
3. 狭い場所でも作業できる
ハンドクラッシャーは小型で持ち運びが容易なため、重機が入れないような狭い場所でも使用可能です。この点は特に、都市部の住宅密集地やビル内部の工事で大きな利点となります。
4. 少人数で作業可能
ハンドクラッシャーのサイズによっては、1人または2〜3人で作業を進めることができます。人員が限られた現場でも効率的に作業が可能であり、作業コストの削減につながる場合があります。
5. 粉塵が少ない
重機を使用すると粉塵の飛散が避けられませんが、ハンドクラッシャー工法では手作業で進められるため、粉塵の発生が最小限に抑えられます。環境負荷を減らす点で優れた工法と言えます。
6. 20〜30cmの壁も破砕可能
小型の機械でありながら、厚み20〜30cmのコンクリートの壁や床を破砕するパワーがあります。住宅から中規模のビルまで、幅広い現場で利用可能です。
ハンドクラッシャー工法のデメリット
一方で、ハンドクラッシャー工法にはいくつかの欠点もあります。以下に主なデメリットを挙げます。
1. 作業時間が長くなる
ハンドクラッシャーは重機に比べて解体スピードが遅いため、作業に時間がかかるというデメリットがあります。効率を重視する場合や大規模な解体工事では、ほかの工法の方が適している場合もあります。
2. 部分的な解体には不向き
ハンドクラッシャーは壁や床を「挟んで破砕」する仕組みのため、穴を開けるような部分的な解体には向いていません。このような作業が必要な場合は、別の工法を検討する必要があります。
3. 分厚い壁には対応できない
ハンドクラッシャーで対応可能な壁や床の厚みは30cmまでです。それ以上の分厚い構造物には対応できず、重機や他の解体工法を併用する必要があります。
ハンドクラッシャー工法の具体的な作業の流れ
実際にハンドクラッシャー工法を使用した解体工事の流れを簡単に紹介します。
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縁切り作業
残す部分と壊す部分の間を切断する作業を行います。これにより、ハンドクラッシャーを挟み込みやすくなります。
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油圧を用いた粉砕
油圧ポンプを接続し、ハサミ型の機械でコンクリートを挟んで破砕します。
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鉄筋の切断作業
壊す箇所に鉄筋が含まれる場合は、鉄筋カッターを使用して切断します。
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最終仕上げ
粉砕しきれない部分があれば、ハツリ工事などで削り取ります。
その他の工法:ポールクラッシャーとの比較
解体現場では、ハンドクラッシャーのほかにポールクラッシャーという工法もあります。ポールクラッシャーは電柱やコンクリートポールなどの解体に特化しており、直径400mmまでの柱を破砕できます。騒音や振動を抑える点ではハンドクラッシャーと共通していますが、用途や対応する構造物が異なるため、現場に応じて使い分ける必要があります。