家の解体や建築は人生でそう何度も経験するものではありません。初めての解体工事だとわからないことが多く不安になってしまう方もいるのではないでしょうか。
前に流れを理解しておくと、業者との打ち合わせやスケジュールの見通しも立てやすくなります。
そこで今回は、解体工事の流れ 初めての方でも安心・安全な解体工事を行う為のチェックポイントをわかりやすく解説します。
解体工事の流れ 初めての方でも安心・安全な解体工事を行う為のチェックポイント
1. 解体業者への問い合わせ
最初のステップは、解体業者への問い合わせです。解体業者に依頼する際、次のような情報を伝える準備をしておきましょう。
- 氏名と住所、連絡先
- 建物の種類(戸建てや集合住宅)と構造
- 建物の大きさ
- 希望する解体開始時期や終了予定日
これらの情報が揃っていると、スムーズに見積もりをもらえます。
2. 現地調査
建物の場所や周辺環境はそれぞれ異なるため、解体業者が現地調査を行い、細かい条件を確認します。依頼主も立ち会うのが一般的です。
現地調査では次の点を確認します。
- 解体範囲(残す部分があればその確認)
- 建物の構造や大きさ、周囲の障害物
- 周辺の状況(隣接する建物、道路幅、重機の使用可能性など)
現地調査により、必要な機材や工法、費用の詳細も見積もりされます。立ち会えない場合は、業者に事前に伝えておくと良いでしょう。
3. 見積もりの確認と業者の選定
現地調査の後、業者から見積もりが提示されます。この段階では以下の項目を確認しておきましょう。
- 総額が予算内かどうか
- 見積もり内容が依頼内容と一致しているか
- 産業廃棄物処分費用などが含まれているか
不明な点があれば、早めに確認しておくことが大切です。見積もりに納得がいかない場合、他の業者に相見積もりを依頼することも検討してみましょう。
4. 契約
見積もりに納得できたら契約を交わします。契約前には以下の項目も再確認しましょう。
- 工事内容と費用に変更がないか
- トラブルが発生した際の対応
- 解体工事にかかる保険や追加費用の有無
これらを確認し、業者との信頼関係を築くことで、安心して工事を進められます。
5. 必要な届け出
解体工事を行うには、「建設リサイクル法」に基づく「解体工事届出書」の提出が必要です。具体的には、床面積が80㎡以上の建物や、解体費用が500万円を超える場合、解体工事の着工7日前までに都道府県知事(または政令指定都市の市長)へ届け出を行います。
ほとんどの解体業者は、依頼主に代わって手続きを代行してくれるので、事前に業者に確認しておくと良いでしょう。また、水道や電気などのライフラインの停止手続きも事前に済ませておく必要があります。
6. 近隣住民への挨拶
解体工事では、騒音や振動、粉塵が発生します。こうした影響を考慮し、解体工事の前に近隣の方々に挨拶を行い、工事の概要を説明するのが一般的です。
「挨拶は必須ではないのでは?」と思うかもしれませんが、トラブルを未然に防ぐために重要な手続きのひとつです。
解体工事の具体的な手順
解体工事の具体的な手順も、建物や現場条件によって異なりますが、一般的には次のように進められます。
1. 足場設置と養生
安全な作業環境を確保するため、足場を組み、防音・防塵シートを設置します。養生(防音・防塵シートの設置)によって騒音や粉塵の飛散を防ぎ、近隣住民への配慮を行います。
2. 内装の解体と残留物の撤去
家財道具や電化製品などの残留物を撤去し、内装を解体していきます。分別解体が基本で、処分するものは業者が産業廃棄物として適切に処理します。
3. 重機による解体
内装の解体が完了すると、重機を使って建物全体を取り壊します。建物が密集している地域や、重機が入りにくい場合には手作業が必要になることもあります。
4. 廃棄物の搬出と処理
解体工事で発生した産業廃棄物は、廃棄物処理法に基づいて適切に分別・処理されます。業者には「産業廃棄物収集運搬業許可」や「産業廃棄物処理業許可」が必要です。
また、廃棄物の処理を第三者に委託する際には「マニフェスト」という管理票が発行され、適正に処理されたことが証明されます。
5. 整地と清掃
解体後は、地面を整えて清掃を行います。整地作業をどの程度行うかは事前に確認しておきましょう。
解体工事の期間とスケジュール
一般的な解体工事に要する期間は、建物の規模や構造によりますが、通常1〜2週間程度です。しかし、準備期間や契約、届け出の手続きも考慮すると、全体で約2か月前後を見積もっておくと安心です。
また、豪雨や台風など天候の影響で工期が延びる場合もありますので、余裕を持ったスケジュールで計画を立てましょう。
解体工事の依頼時に押さえておきたいチェックポイント
解体工事をスムーズに進めるためには、以下の点に注意して業者とやり取りを行いましょう。
1. 見積もりの内訳を確認する
見積もりには、産業廃棄物処分費用、重機使用料、足場設置費など、すべての費用が含まれているかを確認しましょう。見積もり項目が不明確な場合や、追加費用が多く発生しそうな場合には、注意が必要です。
2. トラブル時の対応方法を確認する
解体工事中に発生する可能性のあるトラブルには、追加費用の発生や近隣からの苦情などがあります。信頼できる業者であれば、事前にトラブルへの対応を説明してくれるはずです。
3. 保険の加入状況を確認する
解体工事では、隣家への被害や作業員の事故といったリスクがあります。業者が損害保険に加入しているか確認し、トラブルが発生した際の対応も確認しておきましょう。
解体工事におけるトラブル事例と対策
解体工事で起こりやすいトラブルの例をいくつかご紹介します。これらの対策を知っておけば、安心して解体工事を進められます。
トラブル事例1: 追加費用の請求
解体工事中に地中から埋設物が見つかるなど、予期しない理由で追加費用を請求されるケースがあります。契約時に「追加費用が発生した場合は必ず確認する」旨を取り決めておくことが大切です。
トラブル事例2: 撤去不要なものの撤去
依頼主が「残しておいてほしい」と伝えた庭木や庭石が誤って撤去されるケースもあります。着工前に再確認し、特に残しておきたい物については書面に残しておくと安心です。
トラブル事例3: 近隣からの苦情
解体工事はどうしても騒音や振動が発生しやすく、近隣から苦情が出ることがあります。近隣の方に挨拶をしておくことで、工事への理解を得やすくなるため、業者と相談して丁寧に対応しましょう。