解体工事の時間帯と騒音・振動に関する法律について解説!
解体工事が行える時間帯は?
まず、解体工事を行う時間帯について確認しましょう。解体工事では重機を使うため、どうしても騒音や振動が発生します。これが周辺住民の迷惑にならないように、法律で時間が定められています。
騒音規制法で定められた時間
解体工事ができるのは午前7時~午後7時までです。ただし、1日の作業時間は10時間以内とされています。そのため、朝7時から夜7時までずっと工事をしてはいけません。また、連続で工事を行えるのは6日までで、週に1日は休まなければならないルールもあります。
業者によって作業時間は異なる
基本的に工事時間は7時から19時までですが、実際に作業する時間帯は業者によって異なります。多くの業者は、近隣住民に配慮して8時間程度で工事を行っています。例えば、朝の通勤時間や子供の寝かしつけ時間を避けて工事を進めることが多いです。
公共工事の場合
もし国や自治体が依頼する公共工事の場合、工事の時間帯は午前8時~午後5時に設定されることが一般的です。このような工事は大規模な場合が多く、安全のためにも厳しいルールが適用されています。
騒音・振動に関する法律
解体工事を行う際に知っておくべき法律として、騒音規制法と振動規制法があります。これらの法律は、騒音や振動が住民の生活に大きな影響を与えないように作られています。
騒音規制法
騒音規制法では、解体工事で発生する騒音の大きさは85デシベル以下に制限されています。これは、カラオケボックスの中で誰かが歌っている時の音量くらいをイメージしてください。長時間このレベルの騒音が続くと、自治体から指導を受けることがあります。
振動規制法
振動規制法では、解体工事で発生する振動の大きさが75デシベル以下に制限されています。これも重機を使うことで発生するものですが、法律で定められた範囲内で作業を行わないと、トラブルの原因となることがあります。
解体工事中に起こりやすいトラブル
解体工事では、騒音や振動以外にも様々なトラブルが発生しやすいです。ここでは、よくある4つのトラブルを紹介します。
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騒音トラブル
工事の音が大きすぎたり、時間外に作業が行われたりすると、近隣住民からクレームが発生しやすくなります。
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振動によるトラブル
大きな振動が続くと、住民がストレスを感じたり、建物や庭木に損傷が発生する場合もあります。
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粉塵トラブル
解体中に発生する粉塵が、周囲の住宅に飛び散ることがあります。特に洗濯物に粉塵がついてしまうと、クレームの原因になることがあります。
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業者のマナートラブル
解体業者の態度や工事の進め方に不満を持たれる場合もあります。挨拶をしない、工事の安全対策が不十分などが原因です。
トラブルを防ぐための対策
解体工事において、騒音や振動、粉塵などによるトラブルは避けられない部分もありますが、事前の対策によって多くの問題を防ぐことが可能です。ここでは、トラブルを防ぐために重要な具体的な対策をさらに詳細に解説していきます。
1. 事前に近隣住民への挨拶を行う
事前の挨拶は、解体工事におけるトラブル防止に非常に効果的です。以下のような内容を踏まえて、近隣住民への配慮をしっかり行いましょう。
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挨拶のタイミング
解体工事を始める1週間から2週間前には挨拶を行うのが理想的です。事前に時間を取って挨拶をすることで、工事に対する理解を得やすくなります。
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伝えるべき内容
工事の期間・時間帯・作業内容は明確に伝えましょう。また、「騒音や振動、粉塵が発生すること」「工事期間中に不便をかける可能性があること」をしっかりと説明し、理解を求めることが大切です。
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挨拶時のポイント
口頭での説明だけでなく、工事の詳細を記載したチラシやパンフレットを配布すると、よりスムーズに説明ができ、後で確認してもらえるため効果的です。さらに、粗品(タオルや洗剤など)を添えることで、好印象を持たれやすくなります。
2. 防音シートや厚めの養生シートを使用する
騒音や粉塵によるトラブルを軽減するための物理的な対策として、防音シートや養生シートの使用は必須です。これらのシートは、工事現場の周囲に設置され、騒音や振動、粉塵の拡散を防ぎます。
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防音シートの効果
防音シートは、重機や工具から発生する騒音を遮断・吸収する素材でできており、特に周囲に住宅が密集している場所では効果的です。工事現場全体を防音シートで囲むことで、工事音をできるだけ抑えることができます。シートの選定は厚さや材質によって防音効果が異なるため、現場に応じたシートを選びましょう。
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厚めの養生シートの使用
養生シートは、工事現場から出る粉塵や小さな破片が飛散するのを防ぎます。特に風が強い日や、粉塵が飛びやすい作業の場合、シートの設置をしっかり行うことで周囲の家や車に被害が及ぶことを防止します。二重に養生シートを張るなどして、粉塵飛散のリスクを最小限に抑えるのがポイントです。
3. 手壊し解体を取り入れる
手壊し解体とは、重機を使わずに人力で解体作業を行う方法です。大規模な解体工事では通常重機を使用しますが、手壊し解体を取り入れることで、騒音や振動を大幅に抑えることができます。
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手壊し解体の利点
特に狭い住宅地や高齢者、幼児が多い地域では、重機による大きな音や振動が住民に大きなストレスを与える可能性があります。そういった場所で手壊し解体を選ぶと、住民への配慮につながり、クレームを未然に防ぐことができます。また、建物の一部だけを解体する場合など、精密な作業が必要な時にも手壊し解体が適しています。
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デメリットを理解した上での活用
手壊し解体は重機を使った解体よりも時間とコストがかかります。しかし、クレームやトラブルが後々発生するリスクを考えれば、部分的にでも手壊し解体を取り入れることは有効です。施主として、工期の延長や追加費用を考慮した上で、業者と相談すると良いでしょう。
4. 時間外に工事をしない
解体工事は、午前7時から午後7時の間に行わなければなりません。時間外に工事を続けると、近隣住民からのクレームが発生しやすく、トラブルの原因になります。
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時間厳守の重要性
特に午後5時以降になると、家族団らんや子供の寝かしつけの時間帯に重なることが多いため、騒音に対する住民の感受性が高まります。午後5時以降の作業を避けるか、静音作業に切り替えることでトラブルを回避できる場合もあります。
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業者への確認
解体業者の中には、工期の短縮やコスト削減のため、時間外に作業を行う場合があります。こうしたケースでは、施主から業者に対して、必ず決められた時間内に作業を行うように徹底して伝えておくことが必要です。また、解体作業中に何度か現場を確認し、時間通りに工事が行われているかチェックすることもトラブル防止につながります。
5. 粉塵対策を徹底する
解体工事では、特に風が強い日や乾燥した天気の日に粉塵(ほこり)が大量に発生します。粉塵は、近隣の住宅に飛び散り、洗濯物や車に付着することでクレームの原因になります。
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散水による粉塵抑制
工事現場では、粉塵が舞い上がらないように定期的に散水を行うことが一般的です。特に、建物の外壁を壊す際や、廃材の積み込み作業中に散水を徹底すると、粉塵の飛散をかなり抑えることができます。
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風向きや天気に配慮
解体作業は、天候や風向きによって粉塵の飛散量が大きく変わります。風が強い日には、工事を一時中断するか、粉塵対策を強化して作業を進める必要があります。工事前に、気象条件や風向きも確認して作業を計画すると良いでしょう。
6. 近隣住民とのコミュニケーションを密に
解体工事中も、近隣住民と密にコミュニケーションを取ることが重要です。工事期間中に何か問題が発生した場合や、住民が不安や不満を感じた際に、すぐに対処できるように準備しておきましょう。
- 緊急連絡先の提供
住民からの質問や苦情に迅速に対応できるよう、工事関係者や施主の緊急連絡先を事前に知らせておくと安心です。工事中に問題が起きた際、スムーズに連絡を取れる環境を整えておくことが、トラブルを未然に防ぐ大切なポイントです。